かさ
昼間、出勤するときに
電車の中で傘を持っていたのは、
オイラだけだった。
お日様が照りつける日中に
傘を持っているのは、
それは恥ずかしかった。
帰りの電車の中で、
傘を持たずに
ずぶ濡れになっていたのも
オイラだけで、
かなり恥ずかしかった。
傘を忘れたわけではない。
突風に煽られた拍子に、
骨がボキボキに折れて、
空高く舞い上がっていったのだ。
舞い上がる傘を恨めしく見つめてながら
事故にならなければいいが...と
祈るのだった。
家にたどり着いて
とりあえず
風呂とテレビのスイッチを入れると、
『新幹線の運転見合わせ』の
テロップが流れていた。
列車が危険なくらいだから、
オイラの傘なんて
ひとたまりもないんだなぁと
妙に納得してしまった。
幼稚園に通っているころに、
台風がやってきて
傘ごと空を飛んだことを
思いだした。
もっとも、
『メリーポピンズ』のように
華やかなものでは
当然なかったのだが...
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